「昔とちがって、無理がきかなくなってきた…」
「飲むと、次の日に響くんだよね…」
50代にもなると、若いころとは異なり、体力、気力が落ちてくる、というのは、ごく一般的な現象です。
ですが、働くサラリーマンにとって、社会環境はやさしいものでもありません。
課長や部長といった役職者であれば、「そろそろ…」と、ポストオフ(役職定年)を示唆されたり、
役職がなければないで、子会社への出向などが、ちらつかされます。
そういった、ものすごく不安定な環境において、50代サラリーマンは、どのように自分自身を守りながら、働き続ければよいのでしょうか。
人事歴20年の筆者が、「会社の中で、それなりの尊厳を保ちつつ、生き残る」ためのスキルを、解説します。
50代サラリーマンが自分を守るには
自己紹介は、簡潔に
サラリーマンをやっていれば、自己紹介する機会も多いもの。社内で初めて会う人、取引先、お客さまなど…
簡単なようで、難しいのが、この自己紹介です。
20代、30代であれば、
「入社●年目。■■を2年、▲▲を3年、担当しています」くらいですみます。
聞いている側も、「若者が頑張っているな」、と好意的に聞いてくれます。
一方、50代にもなると、社歴も長く、つい自己紹介が冗長になっていきます。
聞く側も、「そんな昔の話はいいよ。長いなあ…」と、興味を持ちにくい。
なので、年齢を重ねていくにつれ、「自己紹介は簡潔化すべき」です。
もちろん、転職面接や、お互いに興味があって話が深まる分にはよいですが、社交辞令の場で、長々と自己紹介をするのは、大人げないし、みっともないです。
どうしても、自己紹介が長くなってしまう、という人は、パターン化するのが、おすすめ。
「Aの仕事を8年、Bの仕事を5年、Cの仕事を3年ほど、やってきました」という感じです。
「1年間、他部署のピンチヒッターをしていた」とか、「研修で半年間、他社へ行っていた」とか、
よほど話したいエピソードでなければ、はしょって構いません。
時系列的に正しい内容であることよりも、相手が理解しやすい内容であることが、重要です。
そして「今の仕事は●●ですが、~が結構大変なので、やりがいを感じています」と、現在の仕事と、それに対する一言をつければ、それなりの形になります。
自己紹介は簡潔に。質問されたら、補足する、くらいが、ちょうどいいです。
相手の話を、とにかく最後まで聞いておく
年齢を重ねるにつれ、だんだんと相手の話を聞けなくなっていく、傾向があるようです。
(聞かない、のではなく、聞けない、のが実情のよう…)
本人は話を聞いているつもりなのに、話している側からすると「相手が聞いてくれない」と感じる。
なぜなのでしょう。
それは、50代にもなると、多くの修羅場を体験してきているので、誰かの話を聞いていても「ああ、それは、こうだよね」と、瞬時に相手の話が理解できてしまう(と思ってしまう)から。
なので、話を遮ってしまう。場合によっては、求められてもいないのに、アドバイスまでしてしまう。
これを、やめましょう。
話す側は、「自分の状況を知ってほしい、正しく理解してほしい」と思っています。
理解してほしくて、一生懸命、話しているのに、途中で遮られてしまうと、
「自分のことを、わかってもらえなかった」と感じるのです。
「ああ、それわかる・・」と思っても、口にはださず、とにかく相手に最後まで話させる。
話を聞いてもらうだけで、すっきりする人もいます。「話を聞いてくれて、ありがとうございます」と感謝されることもあるでしょう。
自分の人生経験で、相手の話を推し量らない。話を聞くなら、最後まで聞く。
簡単なようで、意識しないと、難しいです。
でしゃばらない
「話を最後まで聞く」の応用編ともいえますが、チームで問題が起きた時などに、
「こうすれば、いいと思います」などと、すぐに解決策を提案するのは、やめましょう。
たくさんの経験がある分、ちょっとした問題や課題であれば、解決法を知っていることも、多いでしょう。
でも状況によっては、「上司が若手の発言を待っている」かもしれないし、「わかっているけど、自信がなくて口に出せずにいる」人がいるかもしれません。
そういう時に、簡単に解決策を出してしまうと、若者たちの発言する勇気を奪ってしまうことにも、なりかねません。
いや、だって、自分ならできる、と思うかもしれないのですが…
それでは、チームの便利屋になってしまいます。
もちろん、人の役に立つのは、すばらしいことですが、50代がめざすのは「面倒ごとを押し付けやすい人」ではなく、「困った時に相談できる人」であるべきです。
少なくとも上司やチームメンバーは、あなたに経験があること、よい解決策を知っているかもしれないことを、わかっています。
問題が解決しなければ、結局、あなたの力を頼ってくるでしょう。
なので、わざわざ、あなたから提案する必要は、ありません。
自分のためにも、相手のためにも、「でしゃばらない」は、有効です。
まとめ
ここまで、ごくごく一般的なサラリーマンが、年齢を重ねても、自分自身を守りながら、生き残るための術を、ご紹介してきました。
もちろん会社の人事に、自分の意見が通るとは限らず、希望した職場への異動が叶わない、などは日常茶飯事でしょう。
だとしても、50代を超えてサラリーマンを続けていくのなら、「職場の便利屋」ではなく、「困った時の相談相手」くらいで、ありたいものです。
ご参考になれば、うれしいです。